第9回 二次的構造の「子ども(C2)」
二次的構造モデルについて簡単に復習してみましょう。
◆二次的構造モデルとは:
自分の自我状態「親(P)」「成人(A)」
「子ども(C)」の中身を知る方法です。
自我状態の二次的構造を説明するとき、
自我状態のP、A、Cを
P⇒P2
A⇒A2
C⇒C2
と記すことが、決まりごとになっています。
では、
今回は二次的構造の「子ども(C2)」に
ついて学んでいきましょう。

1.「子ども(C2)」の中の「親(P1)」
「親(P1)」は、P2やA2が発達していな
い、とても幼い時に親等から与えられた、
親からのメッセージです。
A2が発達していない幼い子供は、親等から
教えられる、世の中の従わなければならな
い規則を受け入れるかどうか、検討する能
力が発達していないため、吟味することな
く、直感的に親に嫌われないために素直に
従い、記憶します。
このような、親等からのメッセージを取り
入れている場所「親(P1)」から通常、
「※禁止令」は発せられています。
言うことを聞かないと叱られるという、思
い込みにより従った、空想の中で作られた
親像は、現実以上に恐ろしい親像を作りあ
げている場合があります。
反対に、現実以上にポジテイブな親像を作
りあげている場合もあります。
「子ども(C2)」の中の「親(P1)」は、
・魔女的親
・人喰い鬼
・豚のような親
・妖精
・魔力を持った親
等と表現されます。
2.「子ども(C2)」の中の「子ども(C1)」
「子ども(C1)」は、子ども時代の体験その
ものです。
身体的感覚を伴うこともあります。
大人になった私たちが、もしパートナーの要求と
違うことをし、「嫌われるかもしれない」
と恐怖を感じることがある場合、それは、過
去の幼い頃に体験した、「言うことを聞かな
いと嫌われる」と、直感的に親に嫌われない
ために素直に従い、記憶した恐怖体験の再現
をしている状態です。
C1は、自分の本質を表している部分です。
さらにC1は、
P0=乳児のときの環境
A0=乳児のときの直感以前の漠然とした決断
C0=乳児のころに体験したこと
で構成されています。
あなたは、
「愛される存在である」か?
「愛されるべき存在ではない」か?
どちらを、生まれつき持っている感覚として
感じていますか?
その、
あなたが生まれつき持っていると感じている
・「愛される存在である」
・「愛されるべき存在ではない」
という感覚は、持って生まれた感覚ではな
く、乳児期に決断したものと考えられます。
3.「子ども(C2)」の中の「成人(A1)」
「成人(A1)」は子どもが問題を解決するた
めに持っている、戦略の全ての総称です。
論理的思考が発達していない幼い子供は、直
感や瞬間的な印象を基に考え、行動を起こし
ます。
元々身についている能力を使うために、A1は
「小さな教授」と呼ばれています。
そして、
このA1は、禁止令決断を行う所でもあります。
どういうことかと言うと・・・
たとえば、
お父さんとケンカをして、お母さんの機嫌が
悪いときに、お母さんの言うことを聞かず、
お母さんから手を挙げられてしまった子供の
自我状態は・・・
子供のC1では、
「お母さんから叩かれた」=とても怖い体験
として記憶されます。
そして
P1で、「お母さんの言うことをきかないと、
嫌われる」というメッセージを受け取りま
す。
でも幼い子供は、論理的思考が発達してい
ないため、「お母さんの言うことを聞かない
と嫌われる」こと
と
「お母さんから叩かれる」こと
が結びつきません。
嫌われること=叩かれること
が結びつかず、混乱し、とても不快な感覚に
襲われます。
「叩かれる」というとても苦痛な体験を受け
入れるために、子どもなりの理由として、
A1が禁止令を携えて、登場します。
A1 ⇒ あたなは、お母さんにとって「重要
な子」ではないんですよ。でも言うことを聞
いている間だけは「重要な子」なんですよ。
だから、
ほら、
言うことを聞かなった、「重要な子」でない
あなたは、叩かれたんですよ・・・と。
そして、
幼い子供は、「重要でなるな」という禁止令
を決断してしまいます。
子供は、親から見捨てられないように、嫌わ
れないように、生きていくために、禁止令
を決断していくのです。
◆第7回、8回、9回 に渡って、二次的構造に
ついて学んできましたが、いかがでしたか?
次回は、自我状態モデルの構造分析と機能分
析の区別と関係について学んでいきましょう。
~~~お楽しみに~~~
※禁止令
自分に対して無意識に自分に何かを「禁止」
している「命令」で、その「禁止」に従って
、私たちは人生を送っています。
12の禁止令
・存在するな
・お前であるな
・子どもであるな
・成長するな
・成功するな
・するな
・重要であるな
・属するな
・近づくな
・健康であるな
・考えるな
・感じるな
参考文献ー倉成宣佳 著
『交流分析にもどづくカウンセリング』
ー再決断療法・人格適応論・感情処理法をとおして学ぶー
発行所ー 株式会社 ミネルヴァ書房
参考文献 イアン・スチュアート、ヴァン・ジョインズ 著(深沢道子 監訳)
『TA TODAYー最新・交流分析入門』
発行者ー池澤徹也
発行所ー株式会社 実務教育出版 2012年
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